分蜂と温度

ニホンミツバチ/調べて書く

 ミツバチQ&Aでcmdiverという方が「分蜂の時に温度は上がるのですか?」という質問をされておりました。光合成のメグミの0922群は3回分蜂した(3/31, 4/5, 4/6)ので、巣内の温度推移のデータを改め確認しました。
 3回とも巣板の間で測定するとピーク温度が37℃になっていることが分かりました。分蜂調査に協力している国立環境研究所にからも、中国の研究者の分蜂と温度の関係の論文*1を紹介してもらいました。論文内容と実際の観測結果は概ね一致しているようです。温度上昇の原因は、巣内の観察カメラの様子から、羽を動かすことと、巣内を歩き回ることによると思われます。分蜂の最高潮ではミツバチの発するエネルギーで巣箱が揺れるほどで、圧倒されました。
 「巣内温度を監視することで、分蜂を予想できないか?」という点では35.5℃から36℃に上昇するかが、一つの目安になりそうです。35.5℃から45分-1時間40分の間に分蜂が発生しています。また、分蜂の発生時刻は正午前後なので、お昼までに35.5℃を超えなければ今日の分蜂はない。ということになりそうですが、いかんせん、サンプル数Nが3個なので結論づけるにはまだ早すぎます。サンプル数を増やす必要性を感じます。また、4/1の温度上昇も気になります。何かが起こっているのでしょうか?更に巣箱内外の動画と合わせて考察を進めたいと思います。
 ちなみに中国のトウヨウミツバチの研究はN=6のサンプル数で、「20-60分前に分蜂が予測できる」としています。

35.5℃37℃ピーク35℃↓蜂雲蜂球形成
#1 3/3109:5011:46(100min)13:3012:0112:19
#2 4/510:1011:40(70min)14:2011:2311:54
#3 4/612:0512:50(45min)15:2012:5813:20

*1 Zhu et al. (2019) The temperature increase at one position in the colony can predict honey bee swarming (Apis cerana). Journal of Apicultural Research 58(4): 489-491.

 https://doi.org/10.1080/00218839.2019.1632149