解析的手法と統計的手法

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 この広告を見て思い出した。

 1990年代に半導体製造装置として、シリコンウェハー上に点在するゴミの数や大きさをカウントして分布を求める通称「ゴミ検」という試験装置が発表され、半導体各社に導入が進んでいた。それは製造工程を流れる、25or50枚入のウェハーカセットの1枚分を犠牲にして、テストピースとするものだった。「そのプロセス工程でゴミが増加したなら、その装置が原因だ」と判断する装置。ごみの増加具合を統計的に処理すると言う原理。自分は故障メカニズムを明らかにして、原因を特定するという半導体の故障解析の立場から、「これは、ちょっと違う」を感じた。しかし、当時はうまく言語化できなかった。
 故障解析の手法なら、故障のメカニズムを明確にしてこそ原因を特定できる。そして、特定された原因から再発防止をできるだけでなく、他の問題へアナロジーとして横展開する事が可能になると信じていた。一方、統計的手法ではメカニズムが分からないから、発生したその問題しか適用できないハズだという疑問だった。
 当時、そう思って全国の半導体解析の技術者を募って「LSI動作解析研究会」を発足させた。その数年後に、世界中で半導体LSIのパッケージ樹脂に含まれる難燃剤が吸湿して、LSIを誤動作させる信頼性問題が発生した。潜在原因として、半導体製造の「水平分業」の問題が浮き彫りになった。このような問題はゴミ検では原因追求が難しいと思われる。

 しかし、今考えるとゴミ検を否定する必要はなかったと思う。ごみ検の方が圧倒的に早いし、故障になる前の潜在的故障も発見できると言うメリットがあり、故障解析と合わせ技でやればより良い結果になったはずだからだ。