教科書*1に沿って、塩基飽和度と塩基バランスの計算を行う。結果は、
- 教科書に示唆されていたとおり、「多量の家畜堆肥の施用の影響」と言えそうだ。これは、2020年冬に実施した北の畑の天地返後、昨年、一昨年と2回にわたって2tの牛糞堆肥を投入した影響が出ていると推測される。事実、昨年、一昨年に1/4以下しか牛糞堆肥を施用していない南の畑が顕著であること。
- もう一つの要素として、イタリアン・トマトのソバージュ栽培の技術として、北の畑に意識的に多量(埼玉県の施肥基準の2倍程度)に苦土石灰や有機石灰を施用した結果であろう。南の畑の苦土石灰の散布は控えめであることからその影響を推測することができそうだ。
石灰飽和度 | 苦土飽和度 | カリ飽和度 | |
目安 | 50-60% | 10-20% | 10-20% |
北の畑 | 60.3% ◯ | 3.6% △ | 30.4% X |
南の畑 | 39.2%△ | 2.4%X | 19.9%○ |
1 北の畑
陽イオン交換容量(CEC) 13 [meq/100g]
塩基バランス(石灰・苦土重量比) Ca/Mg 5.6(土壌診断結果より)
塩基バランス(石灰・カリ重量比) Ca/K 0.6(土壌診断結果より)
塩基バランス(苦土・カリ重量比) Mg/K = Ca/Mg * (1/(Ca/K))=5.6 * (1/0.6)=9.3
石灰(イオンの電荷数の比)Ca 1mg/100g = 28mg/100g
苦土(イオンの電荷数の比)Mg 1mg/100g = 20mg/100g
カリ(イオンの電荷数の比)K 1mg/100g = 47mg/100g
石灰飽和度 (5.6*(28/20)) /13=60.3% (目安50-60%) ◯適正
苦土飽和度 (0.6*(28/47)) /13 =3.6% (目安10-20%) △やや少ない
カリ飽和度 (9.3*(20/47) / 13=30.4% (目安10-20%) ×過剰
塩基飽和度=石灰飽和度+苦土飽和度+カリ飽和度=94.3%
110%(土壌診断結果より)
2 南の畑
陽イオン交換容量(CEC) 15 [meq/100g]
塩基バランス(石灰・苦土重量比) Ca/Mg 4.2(土壌診断結果より)
塩基バランス(石灰・カリ重量比) Ca/K 0.6(土壌診断結果より)
塩基バランス(苦土・カリ重量比) Mg/K = Ca/Mg * (1/(Ca/K))=4.2 * (1/0.6)=7.0
石灰(イオンの電荷数の比)Ca 1mg/100g = 28mg/100g
苦土(イオンの電荷数の比)Mg 1mg/100g = 20mg/100g
カリ(イオンの電荷数の比)K 1mg/100g = 47mg/100g
石灰飽和度 (4.2*(28/20)) /15=39.2% (目安50-60%) △やや少ない
苦土飽和度 (0.6*(28/47)) /15 =2.4% (目安10-20%) ◯やや少ない
カリ飽和度 (7.0*(20/47) / 15=19.9% (目安10-20%) ◯適正
塩基飽和度=石灰飽和度+苦土飽和度+カリ飽和度=61.5%
120%(土壌診断結果より)
*1 後藤他『土と施肥の新知識』(農山漁村文化協会)P109