10/22の19:00-21:00私も出荷している食べチョクという産直ECサイトの勉強会(Zoom)がありました。プレゼンは『東大卒、農家の右腕になる。』著者佐川氏。『これからの時代に求められる一次産業』農業Weekプレゼン内容をより詳しく。
佐川氏は農業の大規模化、6次産業化などのバズワードをまず否定したうえで、「昭和→平成/令和の顧客のトレンドは不可逆的に多様化・個別化しており、そういう面で小規模農家の活躍の余地はある」とした。具体的には「昭和の時代の上客が掬い取られていない」ターゲットを明らかにした。農業経営的にはバズワードに代表される、マクロなところから絞り込むアプローチではなく、「現場の小さな積み重ねが重要」。佐川氏はインターン→就職した栃木の直売梨園での500件の小さな改善を積み重ねた実績を訴えた。具体的にはほとんど全ての顧客コミュニケーションを見直し改善した。→クラウドファンディング450万円で知恵袋化。
更に「農業は製造業のように80-90%を100%にするのではなく40%を80%にする活動だ。経営改善の余地はある。逆に80%+の改善をストップする勇気が必要」とした。工業出身の参加者からは「全くその通り共感できる」という意見が出た。
「売上げは七難隠す」と語り、働く人のモチベーションを上げるのに有効だと語った。その結果、利益率の高い直販99%を達成したという。
山﨑は売上がKPI?と思い佐川氏に「売上KPIが従業員のモチベーション向上につながる論理は何?」と質問。回答は「従業員は必ずしも売上は知らないし、公開もしていない。梨づくりが好きな人達の思い自体がモチベーションにつながっている。」特に会計や帳簿の話もなく、やや、もやもやが残った。山﨑からは重ねて「別の言い方をすると、従業員をどうやってやる気にさせたのか?」と尋ねたが、もやもやは晴れず。
この梨園のKPIは従業員全員が目で見て実感できる直販率なのではないかと山﨑が考える。現場での小さな改善がお客を呼び、そのお客が直売所で購入する事で、直販率が向上する。その直販率を従業員が実感することでモチベーションが向上する。こういう論理なのではないか?
しかし、そのドライビングフォース、特に初期の静摩擦が大きく動き出しにくい部分はどうするのか?これは、家族経営に近い経営体であることがら経営者のプッシュ。最初はプッシュで動き出すかもしれないが、継続するのは難しい。そこの論理は何か?
プレゼン中では「行動するリスクより、しないことの機会損失が大きい」と語っていたが、これは逆に言うとまだ成長余地があるという事。そういう環境も踏まえ、自分が考えるのは「あまり顧みられなかった自分たちのイロイロな課題を真面目に受け止め、一緒に考えてくれるという『共感経営』」なのではないかと考えた。
この一連のやり取りで分かったことは、農業は課題の山。逆に言えば「宝の山」で、ロジックでは分からなくても、情熱や共感で手数を出していけば儲かる世界」だと思った。昭和、特に80年代のメンタリティー例えばQCサークル活動のような全員参加の経営活動がぴったりハマってくるのではないか?
次回は、食べチョクを運営するビビットガーデン代表 秋元氏の出身母体であり、資本も注入しているDNAの南場社長が登壇。
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