ホンダの刈払機が納品され、早速組み立て(約1時間)マニュアルは分かりずらいことを図やイラストでうまく説明できておらずわかりずらいけど、YouTubeで確認しながら、無事組立完了。30分ほどの動作確認の結果、
- メリット:生産性はマキタの5倍(時間換算)
- パワーがあるので草刈りスピードが早い
- 止まらない
- デメリット:許容の範囲
- 騒音(4サイクルで少し軽減)
- 重い(許容範囲)
マキタの電動刈払機はコードレスだし、軽いし、静かだし、良いことづくめのような気がするが、ここに技術者が陥りやすい罠があると思う。マキタにとって工作機械は従来市場だっただろうが、農業機械市場は新市場だと思われる。
新市場参入の際には、開発の担当技術者は会社として新市場がわからないのでどうしてもコンサバティブに設計しがちで、往々にして馴染みのあまりない顧客の愛よりも製品・商品への愛が強くなりがちである。だから、信頼性や安全性の設計のマージンをとることになり、それがややもすると本来の基本機能を損なう結果になる。そもそも、野外で使う機械類に共通として前提とされるのは、
- ヘビーデューティであること(高低温、防水、防滴、耐衝撃)
- ある程度の長時間作業(1-2時間以上)に耐えること。
- 上記の代償としての、重量や騒音の許容
つまり、3を改善するために、1.2をやや犠牲にするということになろうと思う。しかし、特にある程度の長時間作業は犠牲にするターゲットになりやすいが、ここで技術者は「無負荷運転」という概念を出してくると思われる。「無負荷運転」は通常ではあり得ない、「草刈りをしないで、どのくらいの時間回転し続けるか?」という指標である。これは、「無負荷でより長く回る草刈機は、短い時間で止まる草刈機より優れている」という暗黙の了解の上に立っている。まあ、電気掃除機のように負荷が少ないものなら、未だしもモーターの回転力で草を直接刈り取る機械としてはどうなのか?顧客の立場で、目線で見た時にその指標(スペック、KPI)本当に価値があるのだろうかを考えさせられる経験であった。
マキタが高評価を得ている掃除機は、新幹線の車内清掃や駅の清掃にも広く使われており、TVショッピングで大々的に売りに出されているが、これは、家屋や設備のように比較的均質な対象物に対するコントロールであるから成功しているような印象である。今回の農業機械市場に関しては、おそらくマーケティング時点での顧客価値の掘り下げに不十分な点があったのだろう。
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