『誰も農業を知らない』

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マッキンゼーの農業のレポートのあとは、有坪民雄著の『誰も農業を知らない』を読む。

同氏は香川大学経営学部卒業後コンサルタントの船井総合研究所を経て専業農家として、米2ヘクタールの栽培、和牛60頭の肥育を行う。以下、:(コロン以下がサマリー)

  • 第1章 第二次農業機械革命の時代
    • IoTは革命になりうる:自動化・情報化によって少人数で高い生産性を実現できる
    • もうひとつの革命――遺伝子組み換え・ゲノム編集:遺伝子組み換え作物の生産性とリスク→『沈黙の春』レイチェル・カールソン
    • 農業のイノベーションの歴史:①品種改良②栽培環境の整備③肥料
    • いま、農薬は安全である:殺虫スペクトルと課題=魚毒性。60年で薬剤総量1/100〜1/1,000
    • 農業IoTは地域振興と矛盾する:農業IoTは雇用を生ない
  • ◎第2章 無力な農業論が目を曇らせる
    • 無知な人ほど言いたがる「農業にビジネス感覚を」
      • ①大規模論者②無農薬農業論者③農業工場論者④六次産業論者⑤保護主義論者
    • 「農業にはマーケティングが欠けている」のか?:葉っぱビジネスどの位儲かってます?
    • 大規模農業のアキレス腱:規模の経済のリスク。質か量か、農業政策と経営戦略。
    • 夜逃げする無農薬農家:無農薬野菜は手間暇かかるが、高く売れない。植物工場は例外。
    • 六次産業化は絵に描いた餅の典型:やる時間はありますか?成果は上がりますか?
    • ハイテク農業の大失敗を直視せよ:オランダのハイテク栽培 花とトマト集中。日本失敗。
    • 日本農業の問題点は戦前から指摘されてきた:農民はイノベータになれず『日本農業の展開過程』東畑精一
    • なぜ農家は儲からないのにやめないのか:地主がお金を払って、借りていただく状態
    • 現実の議論をしよう――コメ輸入をシミュレーションする:輸入自由化→大規模農家潰れる。耕作放棄地ばかりになる。
  • ◎第3章 農家も知らない農業の現実
    • 誰も農業を知らない:カテゴリが多岐。米作から畑作、畜産、養蜂・・・
    • 農業知らずの農業語り:農学者の最初のセリフ「プロの生産者の方にこういう話をするのは気が引けますが」生産者の皮膚感覚が重要
    • 実は農家が変化するスピードは速い:もうトラクターの代わりに牛や馬を飼う農家はいない
    • 農林水産省は本当に無能か:食管法の廃止にみる農水省のタイミングのはかりかた。
    • ピントがずれている農協改革案:全中の傘下農協への監査・指導の廃止ぐらいしか・・・
    • 農協解体は得か損か:株式会社化はメリットあるか?
  • ◎第4章 農業敵視の構造を知る:農家は多くの人から敵視されている
    • 「農家は甘えている」:よく言われる科白。税金の無駄遣い?自立の努力が実らなかった。
    • 農業が儲かっていた時代:養蚕は国際競争力があり儲かっていた。戦中・戦後も。将来、農家が激減して、農作物が希少な財になった時の残存者利益。
    • 「明るい農村」の時代:供給過剰で離農時代。技術や経営学も発展途上で農業対象外。
    • 農家出身のサラリーマンがいなくなる意味:「練馬で大根作る必要あるか」都市部農家攻撃
    • 邪悪なクレーマー:農薬を不安視するが勉強せず。青いバラも遺伝子組換え→OKなの?現在のインターフェロンやインスリンは遺伝子組み換え大腸菌によって生産されている。農作物だけが除外される理由はなく、クレーマーは時間と共に駆逐される。
    • 明るい材料:元サラリーマンの新規就農(カネ・土地の面の参入障壁下がってきた)
  • ◎第5章 新しい血――新規就農・企業参入・移民
    • 脱サラ就農はラーメン店をやるより何倍も有利:新規就農援助。準備中含め最長7年、一人150万円、夫婦なら300万円。5年で約半数が生計が成り立つ。
    • 誰をバスに乗せるのか――新規就農者に望むこと:有機栽培・無農薬栽培を志向者の脱落
    • 農薬を否定する人は農業の適性がない:29ページを使って自説展開。別途レポートします。無農薬ベテラン農家でさえ「農薬は安全だよ。無農薬はオレにとって生き方であって、安全のための無農薬なんて馬鹿のすることだ」
    • 企業が農業参入で成功するためには:企業からの参入者が農業のメインプレーヤーにはならない。むしろ、大規模農家がメインプレーヤーになるだろう。企業は自由度高く仕入れたいはず。
    • 農業は外国からの移民を認めるべきか:容易な移民受け入れは禍根を残す
  • ◎第6章 21世紀の農業プラン
    • 遺伝子組み換え作物の栽培を実現せよ:生産性向上の決め手
    • 兼業農家を育てよ:参入障壁を下げる効果がある。農業x本業でイノベーション創出。
    • 中央官庁移転は農業道県に:
    • 海外市場は開拓可能:日本の世界的に優れた土壌環境である。価格競争力のある穀物可能
    • 辺境過疎地は選別せざるをえない:
    • 農協の経済部門を半アマゾン化せよ:農協はもっと貪欲になれ。例えば携帯電話事業。
    • 地元から優秀な農業起業家を育てよ:
    • 「農業経済学・経営学」を農学部から追い出せ:将来の農地値上がり期待のために農業をやっている農家という主張の農業経済学者もいる。
    • 食育を推進し、学校給食予算を増額せよ:給食無料化&もっと原材料を値上げ。セーフティネットの意味もある。
    • 農家よ、戦え!:農家には勉強と戦闘力が不足している。